(1)現店舗について-移転-

室町~長崎街道の玄関口にある呉服店~

再開発による移転

 室町が長崎街道の起点であることをご存知の方は多いと思いますが、室町は明治維新後も小倉の中心地でした。現ヤマダ電機さんがある場所には国鉄の小倉駅があり、それを中心として栄えていましたが、小倉駅の移転により徐々に衰退していくことになります。
 しかしながら、平成8年より市街地再開発.準備組合、その後室町一丁目地区再開発事業が始まり、街の様子もすっかり代わり少しずつ賑わいを戻してきています。ご存知、リバーウォーク北九州はそのシンボル的なものでした。
 さて、当「呉服のうめね」ですが、平成20年までは、リバーウォーク内ファミリーマート前の信号を挟んだ向かい側、現D.Cタワー(分譲マンションとしては九州一の高さ145.7m・41階立て)の地にありました。再開発事業のため、移転ということになりましたが、紆余曲折を経て常盤橋たもと、長崎街道沿いの現店舗へと居を移しました。

現店舗正面から

2階は広く空間を確保

元旅館という好条件を活かす

 移転先に決まった建物は歴史あるもので、「玉水旅館」として親しまれていました。内装を全て新しいものにはせず、旅館時代の趣を残しつつ、呉服店の店舗として機能するように改装。また、呉服の販売だけにとどまらず、着物を着て楽しめる、交流・イベントも開催できるように意識した空間へと生まれ変わりました。.

小説の駅前旅館
『駅前には、旅館がつきものである。森鴎外の小説「鶏」(豊前小倉版)には、「がらがらと音がして、汽車が紫川の鉄道橋を渡ると、間もなく小倉の停車場に着く。参謀長を始め、大勢の出迎人がある。一同そこそこに挨拶をして、室町の達見という宿屋にはいつた」とある。このあとも、達見は何度か登場する。また同人の「二人の友」にも立見という名前で同旅館が出てくる(明治44年に出した広告に実存した達見旅館の名がある)。同館は、その後、玉水旅館として親しまれた。現在、うめね呉服店の場所。  (地図で見る近代の小倉室町と場内/出口隆著・(財)北九州市芸術文化振興財団発行より抜粋).


 

(2)-特徴ある店へ-

~老舗旅館の建物を活かす~

茶室のある呉服店

 
 着物と向きあう時間を提供しよう。着物を楽しんでもらおう。元の建物を活かそう。これらのコンセプトのもと、出来上がった現店舗では、
 
(1)茶室(2階)

2階 茶室


 茶室のある呉服店は全国的に見ても珍しいのではないでしょうか。普段あまり使われない部屋を確保するという点では、店舗としてはもったいない空間となります。しかしながら、うめねでは先ほど述べたコンセプトのもと、着物を着て楽しむという点では、お茶席というのは非常に身近なものではないかと考えています。とはいえ普段はなかなかお茶席の機会が少ないことから、気軽に楽しんでいただこうと考え、この茶室を使ったイベントを様々な形で開催していきたいと考えております。また、京懐石のイベントなどで、こちらを使用することがあります。お客様の方で、楽しい利用方法等ありましたら、ご提案・ご相談ください。
 
(2)小部屋(1階)

1階 小部屋


 前店舗にはありませんでしたが、現店舗には入ってすぐ右手に小部屋を設置しております。お客様とスタッフとが、ゆっくりと納得がいくまで、呉服の話をしたり、反物などを選んでいただく為の空間です。この道60年の店主を始めとしたスタッフとの会話をお楽しみください。

元旅館の長所・雰囲気を活かす

 1階は店舗としての機能を活かすための内装のため、元の旅館の雰囲気はありませんが、2階へ登る階段・2階の一部分には旅館として機能していたときの名残があります。

2階から階段を写す


(3)歴史を残す
 2階への階段、のぼりきったところ左手の手すりはそのまま残しています。また、各部屋の入口の欄間は以前のままです。各欄間の花は、そのまま部屋の名前として使われていたようです。どれも趣があり、非常に和の雰囲気に合います。その雰囲気を壊さないような内装にこだわりました。

趣のある引き戸


部屋への入口をそのまま残したため、店舗としては少々無駄な空間や使いづらい点もありますが、それをまた愉しむのもよいかと思います。じっくりとご覧になりたい方はお気軽にお声をお掛けください。